カバノキ科~キンバイザサ科
alnus spp. 靭皮繊維を利用する。あまり丈夫な繊維でない。
シラカンバ;Paper birchと呼ぶ樹皮が剥がれるもの。北米、東アジアなどに分布。
ダケカンバ;Betula ermanii Cham
ウダイカンバ; Betula maximowicziana
木部の利用や薬用、食用、燃料等の利用の他、外皮を組んでかご、シート状にして器、屋根材、カヌーなどを作る。ノルウエーでは根で巻き上げのかごを作る。北米、北欧、ロシアのかご類。樹皮をそのまま縫って容器にする、または組んでかご類に。靴も作られる。屋根を葺いたり、ラップ人がテントの覆いに使う。樹皮を焼いてタールをとる。枝を集めて箒を作る。
シート状の素材に模様を作る方法がいくつかある。下記を参照ください。また、YOUTUBEでは薄い樹皮を噛んで模様を付ける方法(カナダの先住民族)の動画が見られる。
●編組例:
1.Beresta(ロシア)。筒状に採った樹皮を使った容器や組んだバスケットなど。シンプルなものから、他にShemogod birch bark craftのように 細かくレース状に切り込んだものもある。
2.Rogans(カナダ):シラカバの樹皮を採るシーズによって樹皮の色が違うことからパターンを作る。インディアンの伝統的な技法で削り取る方法。資料:画像検索:birch bark rogans
3.資料(2018.1.27):タールの取り方、歴史など:Making Brch Bark Tar by Mike Richadson
4.資料(2018.1.27):カナダの遺跡から発見された樹皮と樹皮の使用方法についての歴史など:Barking up the right tree: Understanding Birch Bark Artifacts from the Canadian Plateau, British Columbia, by Shannon Croft and Rolf W. Mathewes
■資料:Native TEch: Native American Technology and Art- Uses for birchbark 2017.1.24:http://www.nativetech.org/brchbark/brchbark.htm
■資料:シラカバのかご、Lyudmila Savinaさんのウエブサイト 2017.1.24:
https://old.petrsu.ru/Structure/Teams/Beresta/index_e.html
■素材ノート:
長野県ではお盆の送り迎え火に樹皮を燃やす。季節になれば皮を売っている。私が見た時はシラカンバだっと思うが、他のダケカンバ、ウダイカンバの記述も見られる。
シラカンバの皮は季節によってコルク質まで取れるか、薄い表皮がとれるかである。桜と同様、樹皮の繊維は横方向なので皮は横方向に剥ぐ。
他にダケカンバ、ウダイカンバの樹皮を使う。
シラカバの根のかご。使われたシラカバの種小名は不明。
北アメリカ。外皮を剥がしてかごなどに利用する。paper birchと呼ぶ。
北アメリカ。樹皮を利用。ナイフで色が違う下層まで削り、装飾的なかごを作る。
刈りこむと枝がよく分岐するので生垣に使う。枝をかごの持ち手にする。枝で編む。
生育地:北米など。若い枝を編み材に使う。
オーストラリア、アボリジニが地下茎を蒸して、噛んでデンプンをとり、残った繊維を利用する。(資料:Aboriginal Plant Use in south-eastern Australia
メゾアメリカの人々の生活の必需品、pepate(マット)の素材。資料:Containing Tradition, Embracing Change: Weaving Together Plant Materials in Northern Latin AmericaではT.angustifoliaと書いている。
写真は円座を作るための素材。短く切っている。
ヒメガマ;ガマ:縄、蓑、帽子、蓑類などの身につける物、袋、かご類、すだれなどの生活用品を作る。雨を含まないので蓑なども重くならない。
T.latifoliaより花期が遅い。葉を編んで、身に着けるものや背負い袋などを作る。9月末に刈り取り、本体をコモ編みの台で編む。もじりの縄はシナの靭皮繊維をなった縄。岡山県蒜山。
●素材・技術ノート:
1.「穂が出るオトコガマは葉が堅くて使い物にならない。メガマを使う。」と福島県三島町で聞いたがオガマも使うという人もいる。
ガマかヒメガマが使われる。葉の広さが違うため、用途によって使われるのではないか。
2.ガマを編む技術:なう、巻き上げ(2種、そのうち福島県三島町では講習も行われている。)、間を縫って繋げる、捩る、織編み、俵、菰を編む方法など。
Typha latifolia:広い葉。
●編組例:
1.円座。作り方として巻き上げの方法で編む、その他、同心円に巻いて作る方法など。
2.マット。アメリカの例で葉を縫い繋ぐ方法。古代から使われている。参考:Elizabeth Schultzによるウエブサイト、Sewn Cattail Mats(http://www.uwlax.edu/sociology/archaeology/Students/schultz/index.htm)
3.映像資料:地域文化資産ポータル「ひるぜんのがま細工」 http://bunkashisan.ne.jp/search/ViewContent.php?from=13&ContentID=67
■ガマ細工に使われる繊維について:
民具問答集116ではヤマガキの繊維を使うとあるが、これはシナノキの靭皮繊維をよったものと思われる。
■ガマ細工では編み台を使ったものと捩り編みで作られるものが見られる。ガマの代わりに藁を使って同じ方法で製作するものもある
ヒメガマの仲間、
花が爆発すると部屋いっぱいに広がってしまう。
日本、世界中で茎や根を使ってかごやマットなどを作る。Actinoscirpus spp., Bulbostylis spp., Carex spp., Cladium spp.,Cyperus spp., Eleocharis spp., Eriophorum spp., Fimbristylis spp., machaerina spp., Rhynchospora spp., Schoenoplectus spp., Scirpus spp., Scleria spp., など、利用する植物は多い。
スゲ(総称)
笠、蓑、かご、円座などを作る。各地で使われるが、種類が不明なことが多いので総称で記したい。
■資料:四国新聞社 オリーブ通信「讃岐菅円座 継承に燃える」2017.1.29
http://www.shikoku-np.co.jp/olive/article.aspx?id=20120330000001
呼称:ミノスゲ、スゲ)葉で蓑、スゲガサを作る。
水田で栽培。
写真は新潟で販売されている団子を結ぶスゲ。長い材で水に浸けると柔軟になり、編める。
アゼナルコスゲ:葉を編み材に利用する。クゴとも呼ばれ、蓑の材料になる。
ウエブ資料:”岩手農業科学博物館の第18回企画展「農作業の手作り雨具」”報告書に詳しい素材の説明がある。このウエブサイトによるとナルコスゲも利用するとある。
情報:他にも山形でも、湿地には必ずある、ということで縄などにも利用している。
ミヤマカンスゲ。地方によって呼び名が違うが、カンスゲの仲間で、葉を利用して編み袋を作る。
福島ではヒロロ、群馬、茨城などでイワシバ、埼玉県秩父地方ではイワスゲと呼ばれている草があるが、同じ種類のものか、外見では判断できない。どれも編み袋などの素材である。
スカリの部分。タテヨコの材とも2本の束をよった縄が使われる。
■編組例:秩父地方のスカリ:
秩父地方のイワスゲは晩夏のころに採る。株の真ん中の葉を数本、手で引き抜く。その後は自然乾燥、あるいは茹でて乾燥させる。カンスゲの仲間は、沢の岩場などに多いが、生えている場所や採る時期の違いで葉の柔らかさが違ってくる。オクノカンスゲ(C.folissima F. Schmidt)の方が細い縄をなうのに向いていると聞いた。(福島県三島町で)
これは6月に抜いた新芽。2017年撮影
北アメリカ:ネイティブPomo族が根を割いてかごの素材にする。:Pomo族が根を半分に割いてコイリングの巻き材に使う。このかごのスタートの最初の所はこの根を結んだものが使われる。■書籍資料:Pomo basketmaking by Elsie Allen, Naturegraph Publishers
カンスゲ。葉で蓑、かごを作る。
ベアグラス。オオシマカンスゲ。生け花のアレンジや園芸に使われる植物。葉が長く1メートルの長さまである。
伝統的な編み素材か不明。伊豆諸島の大島、八丈島が産地。葉を割いて縄になうなど編める。斑入りのものがある。
ユリ科のアメリカ原産のXerophyllum tenaxもベアーグラスと呼ばれるので間違わないように。こちらはアメリカインディアンのかご、帽子の伝統
的なかごの材料。棘を除くなど、加工に手間がかかる。
生育地:インドなど。西ベンガルでマットを織る。
■ウエブ資料:Madur Kathi-An Important Economic Non-food Crop of West Bengal, by Kalyan Jana and others. この資料によるとこの種の茎の方がC.Pangoreiよりは良質のマットの材料になるとある。
カンエンガヤツリ:大型の水辺に生える植物。日本の一部にもあるが、絶滅危惧種である。 韓国ではワングルと呼ばれかごや筵を作る。栽培しているらしい。 韓国で模様が編み出されたかごや茣蓙を作っている。 皮や中のスポンジ質などを素材として使う。皮は薄茶であるが、中のスポンジ質のような所は白っぽく、これも編み材に使うことができる。
素材ノート★
これはワングル。外側の皮。韓国でかご作りのワークショップに参加した時にもらった。中側のスポンジ質が少しだけついているものもある。水に濡らすと柔らかくなるが、ドライでも柔軟性がある。長さがあるので、編み材として使いやすい。ワングルは皮の他、中側、葉も編み材として使えると聞いた。写真は伝統的な技法のスタートのところ。
ずいぶん前、東京のギャラリーで韓国のワングルのかご作家の展覧会をしたことがあり、そのパンフレットを持っている。韓国には伝統を引き継いだ技術保持者がいて、ワングルのかごも素晴らしい物が作られているようだが、街で見ることはなかなかできなかったし、大変高価なようだ。たいていのかごはきれいな色に染めた材を使って模様を編み出している。
茎を編む材料にする。(ハワイ)
カヤツリグサ:茎、葉が編める。私にとってはもっとも身近なカヤツリグサ属なのです。 子供の時に、ひっぱりっこした経験はありませんか
シチトウイ;(七島藺)沖縄、薩南、九州に生育する。大分県などの水田で栽培されるが、沖縄、薩南では自生する。高さは1.5mぐらい。茎は断面が三角形をしている。長さがイグサの茎の高さが二倍程。
茎は三角形の断面で、根元と先の方に小さな葉があります。茎を裂いて畳表、むしろを織る。
●素材ノート:編み材にするのには、収穫して乾燥後、水につける。そのままでも編めるが、細い幅に割くことで細い材を得られる。内側のスポンジ質は取っても取らなくても編める。三角形の茎を3分割して、中のスポンジ質をとると、光沢のある表皮の縄ができる。耐久性も良い。
パピルス;茎:重ねて紙にするのは有名だが編む材としても活躍する。ぞうり:茎をつぶして組んだサンダルが古代エジプトで作られた。(関島寿子氏が素材の使い方、技術を復元している。その実物は日本はきもの博物館に展示されていた。)
茎:サンダル、敷物、縄、かごを編む。茎の皮:帆、屋根をふく材料に。
写真はパピルスの仲間の茎。
西ベンガルで作られるマットの材料に茎を使う。
■ウエブ資料:Madur Kathi-An Important Economic Non-food Crop of West Bengal, by Kalyan Jana and others.
茎でマットなどを編む。(インドネシア、バリ)
Carex(カヤツリグサ科)の仲間の総称。裂いたものをよってロープを作る。椅子の座やかごを作るのに使う。
生育地:マダガスカルなど。マダガスカルのかごの編み材。細く割いて使う。L.articulataなど。
トトラ;totora.多年生草本,稈:アシ舟(アンデス、ペルー、アフリカなど)を作る。フトイに近い植物。
日本のフトイの使用例は今のところ、不明。
ヨーロッパでは、かごや帽子、椅子の座張りなどが作られる。イギリスの資料では、240cmの長さがあるようだ。スポンジ質のものがいっぱい 詰まっている。
○イギリスの例:bulrushとよばれる。茎を使い、縄にしたり、椅子の座、帽子、かごを編む。
アメリカでは、bulrushと呼ばれコイリングの束などに使うようだ。(例:sweet grass basket)
フランスで見た人の話では茎を割って使っていたそうだが、まるっぽのままでも柔らかい。詰まった茎を使ってウイッカワークのかごなどを編む。(葉はない)ドライにしたものを材料店で売っている。
★素材ノート:写真はフランスでかごの材料として使われたもの。長さは160cmぐらい。かごの材料として売っているらしいのですが、ヨーロッパ、アメリカでかごが作られています。日本の関東付近で見るフトイとは違い、長さも長く茎が柔軟です。水につけると容易に曲がりますので、編めますが、フランスでは割って使っていたとのことです。
茎を編む素材に使う。(ハワイ)
北米インディアンのかごの材になる。茎、根を使う。
magueyはキジカクシ科の植物で繊維を取って編む素材にするAgave, Furcraea属などの植物の総称。生育地は南米。
■資料:メキシコ、Chiapasのリンキングによるバッグ
●Hunting Down the Netted Bag in Chiapas, Mexico
●動画資料(上記のバッグを編んでいる動画):Netted Bag with Maguey in Chiapas, Mexico - YouTube
■解説:magueyの繊維を使っていろいろな技術で物を作る。上記のURLはメキシコのリンキングの例。上の組織がリンキング。1本の端が動いて絡んで進む。ルーピングとは材の動き方が違うが、同じ1本の材が動く仲間。ただし、リンキングには工夫が必要。上記のビデオでは効率の良い方法を考えて編んでいる。2020.7.10更新
■メキシコ原産、常緑の大草本いろいろな種類がある。葉:繊維をとって布、袋、ロープなどに。葉の先端:繊維をつけた針になる。葉:肉厚のものを屋根、壁の建材にする。基部:食料、お酒の原料。
★「shigras/:シグラ(エクアドルの編み袋)」Cabuyaと呼ばれるキジカクシ科(リュウゼツラン科)の植物の葉の繊維を糸にして編む。cabuyaがどの種類なのか、わからないが、違う種類のagaveの葉で作られたとの記述がある。種類についてはNorth American Centry Plantに近いという記述がある。(原典:Janet markarian, Shigra making in Ecuador)
プレコロンビアの時代の遺跡からルーピングのバッグが出ている。リュウゼツラン科Agaveの葉の繊維、cabuyaの繊維を使い針で編む。糸はよりながらルーピングする。つまり歩きながらでも編むことができる。小さなポシェットのようなものから大きなものまで、額や首にかけたり、腰や背中に背負ったりする。以前はサイズが決まっていて、入れる量の基準化があった。cabuyaの繊維は水にぬれると膨張するので、水がもれないとの記述がある。
糸の太さや編み目の大きさや詰め具合は使われる目的によって違う。目の空いたものから詰まったものまで、それにあったゲージや糸の太さがある。つまり、中身によって組織の目の大きさが決定される。細かいものは穀類などを入れた。色糸を変えてパターンを編む場合、色の境目ではそれぞれの糸がターンをして繋がっている。
■画像資料:flickr:Shigras of Ecuador by Teyacapan(古いシグラなどがあり興味深い。)
世界中で栽培される。葉の繊維を利用、pita fiberをとる。
メキシコ原産、生育地:南アメリカ、メキシコ。葉から繊維を取って利用。インド、フィリッピンなどに導入。フィリピン、インドネシアなどで栽培され繊維を利用する。
Magueyと呼ばれるが、数種の同属の種小名の総称であるので、この名前を使うと紛らわしい。
カンタラアサ、マニラマグウエイなどと呼ばれる。繊維が柔らかいので紡いで糸にするのに向いているため、かご類に適している。葉の肉をそいで繊維を取るか、大量に処理する場合は、水に浸けて腐らせて繊維を取る。
ヘネケン(エネケン)と呼ばれる。メキシコ、ユカタン半島などで栽培。サイザル麻よりは繊維が細かくないので、ロープ、マットなどに使う。
かご、縄、布を作る。
メキシコ原産。生育地:中央アメリカ、メキシコ。葉から繊維をとる。サイザル麻と呼ばれる。サイザルは数種の植物の総称となる場合がある。 繊維は固く、細い糸にするのはむずかしいが、太目の縄、ロープ、マット類、漁網、バッグなどに使う。
アフリカでの利用:種小名が違うかもしれないが、東アフリカに19世紀に導入され、ケニアのトワイニングのバッグなどに使われている。
kiondo bag(ケニア)
●かごの例:
sotolという名前で呼ばれ(他の仲間もSotolと呼ばれる。以下のD.wheeleriを参照)、メキシコのTarahumara族が葉を割いてかごやマット類などを作る。この部族は他にも松の葉で二重のかごを作る。
資料(2019.6月確認):URL:sotol:http://www.texasbeyondhistory.net/ethnobot/images/sotol
ドラセナ属。葉を編む材にする。
★素材ノート:落ちてすぐか、落ちる前に葉を収穫し、乾燥する。
使うときは水につけて柔らかくして編む。水に長い間浸けると、
南米に生育、栽培される。たくさんの種類の葉の繊維を利用する。magueyもその一つ。Magueyと呼ばれる繊維をとる種類はいくつかあり、Agave, Furcraea属など。
■資料:Containing tradition, embracing change : weaving together plant materials in Northern Latin America by Kathryn Roussoによると、Magueyはメキシコ、グワマテラ、ホンデュラスで呼ばれ、コロンビアではfiqueと呼ぶ。
南北アメリカ、葉から繊維をとる。
ヤブラン。伝統的な繊維植物としてではないが、葉の繊維で縄をなうことができる。葉をそのまま乾燥して縄にしてもよいが、もっとも丈夫な繊維だけにする方が、強い縄ができる。
生育地:オーストラリア、スペイン、北米。オーストラリアのアボリジニが葉をかごの素材にした。Spiny-headed Mat-rush と呼ぶ。
■資料:The Utilization of Yucca, Sotol, and Beargrass by the aborigines in the American southwest(1941)
によると、プエブロインディアンが葉を使って粗いかごを組む。TBeargrassと呼ばれる。生育地:南部アメリカ、メキシコなど。他にもコイリングの素材にもなる。
■資料:webpage, Arizona Memory Project :Tohono O'odhamの部族がこの植物の葉とユッカの葉を使ってかごを作っている写真が掲載されている。
ジャノヒゲ。「春日井の自然と人々のくらし」脇田雅彦、脇田節子著)には子供の遊びにカモジグサの代わりに使うとある。写真はコクリュウと呼ばれる園芸種。
アジアに分布。ノシラン。
★素材ノート2020.9:新しい葉をミヤマカンスゲ(カヤツリグサ科)のように真ん中から抜き取ることができる。伝統的な繊維植物ではないものの、葉には繊維があり細いが丈夫な三つ編み、縄を作ることができる。
コクリュウ。伝統的な繊維植物ではないものの、葉には強い繊維があり、葉肉をこそげとると、細いが丈夫な縄をなうことができる。
アフリカ原産。葉から繊維をとる。インド、ヨーロッパなど。今はドラセナ属に分類。
ユッカ属
北アメリカ ネイティブのかごの素材。木のようになる種もある。
葉や根から繊維をとり、紙やコイリングやプレイティングのかごの素材にする。根もかごの素材として使う。
繊維も編み組み品の素材になり、遺跡から繊維のサンダルが出ている。また繊維を束にし履物を作った。
Amerian Indian BasketryでMasonはY.arborescens(Y.breviloliaと同義語), Y.arkansana, Y.baccata, Y.filamentosa, Y.glaucaをあげている。現在ではこの他の数種も報告されている。
写真はアリゾナで。
■素材ノート
写真はユッカの葉を束ね、乾燥したもの。
かごの素材用。種類は不明だが、北アメリカ南西部で見たもの。南西部では、リュウゼツラン科と思われる植物をたくさん見かけた。葉も細いものから太いものまで、いろいろとある。葉の先が針のように尖っているものを見ると、針の代用に利用したのでは、思わずにいられない。
日本に庭木としても植えられるドラセナもキジカクシ科(リュウゼツラン科)。葉を水に浸けて腐らせると、繊維が取れる。
木材をいろいろな物に利用。 山形桐紙(薄く削った木部に紙を裏打ちしたもの) 資料:山形県ホームページ https://www.pref.yamagata.jp/ou/shokokanko/110010/kogeihin/cate05-04.html ■素材ノート: キリ材でつくられたかごのかごの型を見たことがある。軽くて柔らかいため、作りやすいようだ。
伝統的な繊維植物ではないが、朝日新聞の「野遊び指南」で、茎の芯を使って作るクラフトをナチュラリストの おくやま ひさし氏が提唱している。
伝統的な繊維植物ではないが、茎に繊維がたくさんある。
写真は茎を裂いたもの。
ヨモギ:葉:ほくちに用いられた。
★素材ノート:伝統的な編む材料ではないが、春に伸びた茎の外皮を剥ぐことができるが、時期が違うと剥げない。
それほど厚くはないが、長く取れる
アメリカ、ユタ州の遺跡から出土した遺物:外側の皮をなって縄にした。
ラビット ブラッシュ:Rabbitbrushと北アメリカで呼ぶ。ただし、この呼称で数種のキク科の植物が呼ばれているので注意。
北アメリカ、南西部のネイティブがかごの素材。茎を使って織り編みのかごを作る。写真は北アメリカ ニューメキシコ州、ハイウエイ付近で撮った。アメリカ西部に自生。チャミッサと呼ばれていた。牧場や道端に生えているので、簡単に見つけることができる。土壌を改良してくれる植物だそうだ。
●書籍American Indian BasketryでMasonは、Rabbitbushと呼ばれる植物名を二つあげている。Chrysothamnus greeneiとEricameria nauseoa var. だが、ウキペディアではLorandersonia属も入るとある。
かごはその茎で作られたもの。ホピとナバホがかごの素材にすると思うが、あまり詳しいことはわからない。かごは沖縄の造形作家である小川京子氏が宿泊した部屋にあったものを見せてもらった。
ヒマワリ;ヒマワリの茎を剥いて繊維をとったことがある。
伝統的な素材ではない。ただし、大きく育ったものについてはリグニンのため木化する。以下はその記録。
180㎝の高さに育ったヒマワリの茎を切った。以前ヒマワリの茎の外皮を剥いたことがあった。以前剥いたのは背がそれほど育っていないもの。花も小さい。直径3㎝に育った茎は木のようになっていた。外皮を剥こうとしても長く取れない。
繊維質が続くことはなく、枝の所で切れてしまう。高くなってしまった本体と花を支えるため、茎は木化したのだ。写真は木化した茎を半分に割ったところ。
コウヤボウキ:茎を集めて箒を作る。
■資料:「木のぬくもり 森のぬくもり、樹木図鑑」2017.1.29
http://www.jugemusha.com/jumoku-zz-kouyabouki.htm
フキ;伝統的なかごの素材としてではないが、外皮の繊維が強く、縄をなうことができる。
以前秋田フキの皮を入手したことがあるが、硬い所もあった。スーパーで手に入るフキで十分縄がなえます。
写真は畑で育ったものから取った繊維と縄。
熱帯、温帯。薬用、木部の利用の他、多くの種類で靭皮繊維を利用する。以下の他にもAlstonia, Anodendron, Apocynum, Asclepias, calotropis, chonemorpha, cryptolepis, Ichnocarpus, Melodinus, Parsonia, Tabernaemontanaなど
茎から繊維を取って撚りをかけて縄にする。(北アメリカ)dogbaneと呼ばれる。
■資料:Fiber Bags of the Great Lakes Indians by Andrew Hunter Whiteford (複雑なもじり編みの構造のバッグについて。タテ材を交差させて、パターンを作る。)
■資料:「primitive ways」Dogbaneについて繊維の採取のビデオもある。2017.1.30
http://www.primitiveways.com/hemp_dogbane.html ★Dogbaneの呼び名はApocynum androsaemifoliumについても使われる。
milkweed; 北アメリカのネイティブの素材。靭皮繊維を使う。この他にもAsclepias spps.の靭皮繊維を利用する例が北米で報告されている。
日本にも渡来した。写真は関西で。
インドなど。種から繊維をとり、詰め物などに使うが、外皮から靭皮繊維も利用される。 ウエブ資料:Encyclopedia Britanicaには南アジア、アフリカに自生していたものが南アメリカなどに輸入された経緯、繊維の長さ、直径などが詳しい。
テイカカズラ;関東でもみかける常緑ツル性木本。茎から吸盤のような組織を樹木に貼り付けて絡んでいきます。樹木の下のほうからからみつき、びっしり対生の葉を出して茂っているのでよくわかります。 末端は細いのですが、根元になるとずいぶん、太くなるものもあります。ツルはわりと柔らかく、かごを編むことができます。付着根があるので、白っぽく見えます。細いツルでも柔軟性があるのですが、太いツルも柔らかい。縄文時代から、かごの素材として使われています。
・付着根や吸盤はタワシでこすると落ちると思います。(情報源:高宮)
★素材ノート:
縄文時代の遺跡から出土したかごの素材でもあります。写真は外皮を剥いた材で編んだ捩り編のかご。タテ材、捩り材ともテイカカズラです。
2017.1.30
キンバイザサ:lemba fiberとよばれる。長い葉の繊維から糸を作る。
葉の繊維で漁網を編む。(朝日百科「植物の世界」)
■資料:Researchgate, Lemba (Curculigo latifolia) Leaf as a New Materials for Textiles by Nazlina Shaari(2017.1.31更新)
https://www.researchgate.net/publication/
4235631_Lemba_Curculigo_latifolia_Leaf_as_a_New_Materials_for_Textiles
著者によるとマレーシアでは豊富にあり、農場に植えている。サラワクでは絣で糸をくくるために使われる。論文は新しくテキスタイルとしての繊維として見直そうとする内容。
■書籍資料:「アイヌ文化の伏流」川端和彦著、経絣に使うという記述がある。