編む植物図鑑7

ナンヨウスギ科~ホウライシダ科

ナンヨウスギ科

■Araucaria sp.

資料:Biotechnology in agriculture and forestry trees1、生育地は南米など。木部のパルプから紙を作る。1980年代の調査でブラジルで栽培されていた記録がある。この本によるとA.angustifolia。このほか種小名が不明だが、インドでの紙の製造についての資料があった。


ニシキギ科

■Celastus orbiculatus

ツルウメモドキ;細いツルは関東でも良く見ることができる。表面の点々が特徴的。あまり、柔軟性は無いが、靭皮繊維が強い。 太いツルから繊維が取れ、縄に使う。縫い糸、釣り糸、糸類(北海道先住民族) 細めの枝、たとえば直径5㎜ぐらいの枝でもツルウメモドキ特有の茶色の薄い皮(すぐ取れる)を除けば外皮で縄をなうことができる。内側の繊維は細く、まだ育っていないが。


ニレ科;Ulmaceae

■Ulmus americana

生育地北米。木部からヘギ材をとる。


■Ulmus laciniata

オヒョウ:アイヌのアッシ織りの材料。靭皮繊維を使う。他に縄やかごも作る。 ■資料:染織α(年号不明)に貝沢輝一氏のインタビュー記事があり、以下のような記述がある。 『昔は1/3だけ皮むいて、あとは木の皮のひもで結んで留めといた。』 オヒョウはシナノキ靭皮同様、またはそれ以上に丈夫な繊維がとれたようだ。シナノキ同様、今は少なく貴重である。


■Ulmus davidiana var. japonica

ハルニレ:靭皮繊維を使って縄、かごを作る。


■Ulmus rubra

生育地:北米など。red elmと呼ばれる。木部からへぎ材を取る。


■Zelkova settata (Thunb.) Makino

ケヤキ;樹皮を使って容器を作る。木部を切り抜いて筒状にした桶のような容器を作る。
■素材ノート: 大きなケヤキの樹木を切り倒した際に根をもらった。柔らかく編めた。


ノウゼンカズラ科

■Catalpa spp.

実の鞘を細かく裂いて、かごの材にする。縦筋が印象的な材になるが、以前にもらったものはそれほど、柔軟性はなかった。しかし、”An Investgation of plant fiber for basketry by Virginia Sue M. Smith"によると、C.speciosの実の鞘をアメリカインディアンはコイリングの巻き材にしていたとの記述がある。


パイナップル科

■Aechmea magdalenae

生育地:南米。柔らかい繊維を抽出して編む。
■資料:Containing Tradition, Embracing Change: Weaving Together Plant Materials in Northern Latin America: (パナマのNgobe族がシンプルルーピングのバッグを作るのに使う。)
■資料:The use and potential of the Pita Plant, Aechmea Magdalenae by Kathryn M. Lincoln(編み方については解説はないが、この植物とNgobe族との歴史や現在の状況、および繊維の抽出や染織方法についての報告。)


■Ananas comosus

パイナップル;台湾、フィリッピンなど。繊維はpine(ピーニャ)、pinaと呼ばれる。 葉から繊維をとり、アナナス ファイバーと呼ぶ。繊維の採りかたはサイザルと似て いて 葉の表面を削って繊維をとる。
★素材ノート:日本で売っていたパイナップル、(普通のサイズ)に葉が残っていた ので、 育ててみたのがこの写真。葉の長さは1m近くにはなったが、1枚の葉だけだと、繊維はそれほ どとれない。しかも、非常に細い繊維で、バスケタリー素材にするのには難しかった。
★素材ノート2020.8:スーパーで売っている葉付きのバイナップルの葉をとり、水につけて腐らせ、繊維をとることができる。葉の外側の繊維層と中の細い白い繊維をあわせれば丈夫な縄になる。苦労はするが、どれほど葉が短くても可能である。
■資料:Phillipines folk life:2017.2.19
http://philippinefolklifemuseum.org/portfolio-items/history-and-origin-of-pina/
■資料:Youtube:Raquel's piece on The Philllippines and Pina Cloth、2017.2.19
https://www.youtube.com/watch?v=BRddEMm4mAM


■Tillandsia usneoides

spanish mossとも呼ばれる。マットレスなどの詰め物に使われた。このほか、葉で編んだとの記述があるが、詳細は不明。2017.2.19


バショウ科

■Ensete ventricosum

アフリカ原産、エチオピア西南部で栽培。バナナそっくりだが実をつけることはない。偽茎から繊維をとる。


■アバカ(マニラ麻):Musa Textilis 

多年生草本茎の繊維 繊維をとったものはマニラ麻と呼ばれる。 バナナにそっくりなので、葉の先を見て見分けるらしい。マニラヘンプとも呼ばれる。フィリッピン原産で、アバカは現地語。 海水に強いので船のロープや袋など、紙もすく。海水に強いため船のロープとして最適。
★素材ノート★ 左の繊維は日本で買ったもの。繊維自体はそれほど細くないが、よって縄をなうこともできるし、 そのまま編むこともできる。 繊維はよれば丈夫な縄を作ることができる。 繊維は、繊維の幅や厚み、太さがいろいろなので、ワイルドな感じであるが、草の繊維、 たとえばチョマなどの粗い繊維と比較するとより柔軟な感じがあった。
■書籍資料:『アイヌ文化の伏流』川淵和彦著に、ミンダナオ島のT'boli族のアバカの織物の記述があり織ってから、布の表面を貝などで磨くとある。2017.2.19


■Musa paradisiaca

バナナ;実バショウと呼ぶ実をつけた後の偽茎から繊維を取り出し、紙にする試みが進んでいるらしい。(ハイチ共和国)日本の技術集団が協力している。


■Musa balbisiana、またはMusa liukiuensis

リュウキュウイトバショウ、糸芭蕉;偽茎から靭皮繊維をとって織物、芭蕉布にする。南西諸島で栽培。(沖縄) 秋から冬の間に採集。偽茎の輪層を剥く。内側の繊維が上質とされる。繊維を剥ぎ取り、灰汁で煮て苧引き後、織り糸にする。 偽皮の外皮はしっかりしていて、かごの材料になる。


ハス科

■Nelumbo nucifera

ハス;茎の繊維から織物を作る。 ■資料:『アジアクラフトリンク』、ミャンマーの織物の報告、2017.2.21更新 http://ameblo.jp/npoacl/theme-10081959278.html ★素材ノート:上野公園のハスの茎を利用してかご作りのワークショップを行ったことがある。ハスの茎はあまり柔軟性はないので苦労した。 その際、茎から繊維をとってみたが、非常に細く、何本か撚り合わせて糸を紡ぐのに、大量に茎が必要であることがわかった。写真は琵琶湖で。



パナマソウ科

■Carludovica Palmata

パナマソウ;パナマ帽の材料。
パナマ帽:起源はエクアドルと言われる。今では、メキシコでも作られる。パナマでは古くからピンタード帽とも呼ばれた。 パナマソウはヤシに似ているが、違う。この植物の若い葉で作る。たくさんの本数の細く割いた材で組むが、組んでは横に 移動して回転しながら編み、 斜めに組んでいる. 資料:Weaving Life -The Story of Ecuador's "Panama Hat"(youtube) 資料:How Panama Hats are made -a Cuencan Tradition (youtube) 資料:Oxford plants400 2017.2.20 http://herbaria.plants.ox.ac.uk/bol/plants400/Profiles/CD/Carludovica

京都府立植物園で


バラ科

■Amelanchier alnifolia

真っ直ぐな枝は丈夫で強い。外皮からロープを作る。(American Indian Basketry by Mason)
北アメリカのインディアンがかごの補強に使う。(University of Alberta Libraries’ Institutional Repository, Amelanchier alnifolia by K Gould、他)


■Cerasus spp.

さくら。樹皮、靭皮、枝を利用。木部からヘギ材。 樹皮は立木から剥ぐ。樹木に対して横;水平方向に剥ぐ。 ●編み組みの例:外皮:箕、背負いかご、筒など。わっぱを縫うのに使う。秋田県の樺細工。C. sargentii (Rehder) H.Ohba(オオシマザクラ)、C.jamasakura(ヤマザクラ)などの外皮は細工に。

★素材ノート★ 『輪に剥く』 Sさんからサクラの皮をいただけることになった。種類は不明だが、倒木した枝で、叩いて輪状にむけるよ、と教わる。ナイフで切れ目を入れても剥げるが、輪状にも剥ける。4月の中旬という時期もよかったのではないかということであった。枝は花が終わってすぐ切られたようで葉とガクがまだついていた。叩くのはまんべんなく、全体を叩く。しばらく(1分ぐらい)叩いた後、形成層と木部の間に隙間ができてきた。(色が濃くなっている所がそう)叩く時間はその枝の細さ、枝の有無によって違う。

■素材ノート:樹皮の表側に出ている気孔などを削り、平らにする。傷つけないように、全体の表面を刃の背などで削っていくと、光沢が現れる。


■Prunus spp.

木部、樹皮、内皮の利用。



■Prunus emarginata

北米など。外皮、内皮を利用する。主に組み編みに使うのは内皮。書籍資料、Grounds for gathering by Patricia Pinson Reese and Wilma Zoe Zieglerpによると、螺旋状に向いて長い材を取る方法が紹介されている。


■Prunus grayana 

ウワミズザクラ:木部、樹皮の利用。外皮には独特のダイヤ柄の模様がある。靭皮も丈夫で利用する。


相模原公園で


■Rubus trivialis

アメリカ南部に生育。インディアンがかごの材料に使った。資料には葉と棘を取った後、長時間お湯で煮るとある。
■資料:An investigation of plant fibers for basketry by Virginia Sue M. Smith


パンヤ科


■Adansonia digitata

バオバブ:中部アフリカなどに成育する。たいへん水分が多い樹らしい。靭皮繊維を使いいろいろな物を作る。
写真はAdansonia zaで、東京都の農大植物園のマダガスカル展で。この時、バオバブ(種小名は不明)の苗木を売っていた。


■Ceiba pentandra

パンヤノキ:種子の綿毛(カポック;Kapok)を利用して詰め物に使う。糸をつむぐのはむつかしい。


■Chorisia speciosa

上記のカポック同様に綿毛を利用。


バンレイシ科

■Asimina triloba

アーカンサス州のOzarksの遺物のもじり編みの材にこの植物の内側の繊維が使われている。枝の外側の繊維は非常に強い。



ヒノキ科


外皮、内皮、木部、根を使う。


■ヒノキ:Chamaecyparis obtusa

樹皮:桧皮葺きの材料。木部:割ってへぎ材でかごを編む。薄く削って経木を作る。経木は厚い板のようなものや薄い皮まである。
編んで帯状の組織にしたものを帽子の材料など使う。経木、または経木紐を作る。
内皮:平たい材に整え、かごを編む。また、縄になって木造船の浸水防止材として船板の継ぎ目に詰めたそうだ。この縄はマキハダと言われ、他にコウヤマキなどの内皮も使われた。
★素材ノート★2020.8
種小名は不明だが、ヒノキの仲間の内皮の柔らかい繊維をなって縄を作った。繊維自体は細くて柔らかく、あまり、強度が無い。虫がつく可能性もあるだろう。


★素材ノート★『ヒノキの経木』
ずいぶん前に買ったもの。これで縄をよって作品を作った。ヒノキの経木や竹の皮に品物を包み、この薄皮で結んでいた。経木のもっと薄いテープ状のもの。 名称はなんというのか不明だが、昔は紐がわりだった。



★檜細工
『檜細工』:写真のかごは石川県の鶴来町のもの。ヒノキの木部のヘギ材で作られている。木部をカンナ、または機械で薄くスライスした材(石川県の鶴来町ではヒンナと呼ばれる)を使って組むが、立体の方法や造形方法が独特です。長年使っていると飴色にかわってきます。笠やいろいろなかご、箱類などが作られます。以下のビデオでは笠の作り方が見られます。

■参考資料YOUTUBE:参考:石川県指定伝統的工芸品 鶴来の檜笠


写真の木材がヒノキのヘギ材の元の材で、その下にあるのがヒンナ。厚みが1mm無いが、食品を包む経木ほど薄くなく0.5mm以上はあると思う。



■Chamaecyparis pisifera

サワラ;木部を割って薄板を作り、こけら葺きに使う。


■Chamaecyparis nootkatensis

yellow cedar; 内皮を用いて編組品を作る。木部はred cedarのようにはたやすく割れない。
●編組例:北アメリカ北西部の先住民族が内皮を用いる。


■Cryptomeria Japonica

スギ :内皮、木部を利用し、箕、かご、曲げ物、樽桶、縄類などいろいろな物を作る。葉は食品に添えたり、杉玉を作る。外皮:屋根材にする。

素材ノート1★ スギの樹皮採り
7月の初めに樹皮採りに行った。1本を数人がかりでむく。外皮と内皮がきれいにはがれる時期があるのか、わからないが、この日は一部だがきれいに剥がれたものもあった。もともとの杉の状態にもよるので、いろいろなケースがあると思うが樹脂がすごくたくさん出てきて、見る間に手は真っ黒。柔らかい内に、外皮を剥がせるものは剥がし、持ち帰る。内皮を使ってかごを作る予定。左はスギの内皮、剥いて直後は真っ白だが、見る間に茶色になる。
外皮は伝統的には屋根を葺くのに使ったそうだ。 今では、そのような建物も少なくなってしまったようだ。外皮を採るのには道具が使われる。 杉の皮に切れ目を入れて、端を起こして剥く道具だ。


素材ノート2 スギの樹皮
とってきた内樹皮をどうして使うか、いろいろと試してみるが、どうも硬くて使えない。そこでソーダで煮て柔らかくした。1時間ぐらい煮てとりだして次のように二つの作業をしてみた。
外皮をとり、内側の皮をナイフで少しずつはいでいった。内皮は薄く柔らかくなり、かさかさという音がするぐら薄くなる。その後、木槌でやさしく叩く。繊維がばらばらにならないように、気をつけなければいけないが、こうすると外皮もやわらかくなり使いやすくなる。




■Juniper属

ラテン語名不明:木部を割ってかごを編む。(北欧)


■Juniperus chinensis

イブキ;木部を用いる。


■Juniperus rigida

ネズミサシ。枝を縁の輪などに利用する。
⚫︎資料 島根県立博物館 https://www.pref.tottori.lg.jp/265708.htm
オイコ作り:映像による記録。ネズミサシの枝で枠組みを作り、フジの繊維で巻いてとめる。枝の間を藁縄でうめて、もじり編みでとめる大型の背負いかご。


■Thujopsis dolabrata var. hondae

ヒバ、青森ヒバ(アスナロ、ヒノキアスナロ):青森市森林博物館配布資料によるとヒバはアスナロ、ヒノキアスナロと和名があるとのこと。 ヒバの内皮は北米先住民族が使うレッドーシダーと内皮と見かけがよく似ているが、植物学的には親戚かは不明。 スギの内皮もそっくりで、同様に柔らかい。ヒバは立木から内皮を採取した記述がある。 ■木部を使ったもの:津軽のワッパの材料。へぎ材にしてかごが作られる。
■内皮を使った編み組み品について: 幅3cm以上の材で作られたヤジガレと呼ばれる大小のかごがある。たいがいが細い縄を入れて、織り編みで作られている。縁は簡単な折り返し。 縄はタテ材の本数が偶数であるため、螺旋状に編むのに2本のタテ材に渡った編み材を押える効果がある。


■三内丸山遺跡から出土の縄文ポシェット
2012年に東北大学植物園、鈴木三男教授がひきいる編み物研究グループにより復元が行われた。 素材の植物が同定されヒノキ科の内皮であることが判明。 ヒバで復元を行った。 波網代の側面のパターンは底の編み方と連携している。縁はタテ材を折り返すが、その先は不明。
★素材ノート:写真は復元実験の途中。ヒバで底を組んだところ。編むのは難しくないが、材がしっかりしていなく、 すぐに皺ができて、しだれてしまう。材の厚みが1㎜だったせいか。上記のヤジガレはもう少し厚みがありしっかりしている。

■Thuja standishii

ネズコ;木部を割って曲輪の器を作る。


■Thuja plicata

red cedar; 木部をへぎ材に、内皮を編む素材に使う。樹木全体に用途がある。
●民具例1:根を割って、北アメリカのコロンビア川流域に住む先住民族が巻き上げ編みのかごを作る。
bear grass(Xerophyllum tenax)の葉でimbricationという技法で模様を編みだす。
●編組例2:北アメリカ北西部の先住民族(ハイダ族など)とっては重要な樹木。そのすべてを利用する。かれらはPeople of cedarと呼ばれる。
内皮をかごにしたり、叩いて柔らかくして縄をなったり、編み物の材に整える。
■資料:かごの植物図鑑 bear grass(Xerophyllum tenax)
■書籍資料:Cedar, Hilary Stewart, 1984
■資料:シダーの種類がわからないが、下記のウエブページでは立ち木から樹皮を剥がす写真をIn -SHUC-ch First Nationより紹介。(こちらのページでは既に削除されている。)それに加えて樹皮を剥がした跡を現在、生育している樹木からわかるという報告について書いている。2017.2.26更新
Northwest Coast Archaelogy,:https://qmackie.com/2010/09/17/in-shuck-ch-cedar-bark-stripping-gallery
■資料:Youtube; Story of Cedar, Cedar Hat weaving and Bark Pulling Cowichan Coast, 長いビデオだが、シダーの素材性質が映像から伺える。2017.3.20
https://www.youtube.com/watch?v=95rPwCDHOCE


ヒユ科:

■ホウキギ,Kochia scoparia: (ホウキギ属)

枝を集めて手ぼうきが作られた、という記述があるが、一般的に、箒、例えば鹿沼箒など、には、イネ科のホウキモロコシを使う.
園芸用のほうき草は色がきれいに紅葉するが、抜いて乾燥している間に、赤い色は消える。実は食用のトンブリ。
○一般的に、箒、例えば鹿沼箒などには、イネ科のホウキモロコシを使う。




フサシダ科

■Lygodium spp.

生育地:東南アジア、中央アメリカ、ニューギニアなど。枝を編み材にしていろいろなかごを作る。以下の他にも数種、かごに使われる仲間がある。

■Lygodium circinnatum

Lygodium属。生育地:東、南アジアなど。インドネシア、フィリッピンのかごの素材。ツル性植物。下記の本では丸ごと、および半分に割いて使うとある。インドネシアではata、ketak、フィリッピンではnitoと呼ばれる。どのくらいのツルの太さかが不明だが、水に浸けなくても柔軟で、組みや長い茎を縦に割いて芯材を巻いていくコイリングのかごを作る。編みあげた後、ココナッツの実をいぶし煙をあてて色を付ける。虫よけの効果。ニューギニアでかごが作られる。
■書籍資料:p.14, Traditional Basketry in Bali, Fred B. Eiseman, Jr.
■ウエブ資料:Polkadee.com: https://www.polkadee.com/how-are-bali-rattan-basket-bags-made/ ataの植物の画像とそれを使ったかご作りの映像。2019.11.18更新。
★素材ノート:小西貿易で販売しているニトはこの植物か種小名は不明。それほど柔軟ではない。私は割って細い材と作り柔軟性を得ている。


■カニクサ:Lygodium japonicum

ツルを使ってかごを作ることができるが、あまり太いものは日本には無い。
■ウェブ資料:Baskets of the World, the social significance of plaited crafts,2005 では東南アジアには広く分布していて、色の濃い繊維は他の素材と重ねて、装飾的な使い方をする、という記述がある。


フトモモ科

■Eucalyptus spp.

生育地は広い。オーストラリアでは木部から器を作ったり、樹皮でカヌーを作る。また、インドでは紙の原料となる。写真はE.globulus Labill. 剥がれた外皮はもろく、編む材にはむずかしい。
木部を使って器や道具を作る。木部から紙も作られる。
■オーストラリア、タスマニアで外皮を使ってかごを編む。外皮はそれほど柔軟でなく、固く、隙間が空いているが、ざっくりと編まれたかごである。ウェブサイトの”Willow Basketmakers Tasmania"で、Bob Mesibovが、A.verticillataを使うと書いている。2019.8



ブドウ科

■Vitis coignetiae

ヤマブドウ:ツルそのものは柔軟ではないが、太いツルの外皮を採り、なめすように平らにしてかごを編む。
採集の時期によって一番外側の皮とその下の皮から取れる。質のいい柔らかいものは後者だが、一番外側の皮も縄をなってかごが作られた。かごや背負いかごなど。



■Ampelopsis leeoides (Maxim.) Planch.

ウドカズラ;または、Ampelopsis cantoniensis (Hook. & Arn.) Planch.
★素材ノート:2014年久留米の正福寺遺跡出土のかごの復元で、ウドカズラが使われた。素材として枝が採取されたが、編みにくく、太さもあったので、偶然同時に採取されていた気根を使ってかごが復元され、その組織は細かいものだった。縄文時代のこの地方で使われた素材であるが、現在はかごの素材として使えるような豊富にある植物ではなく、絶滅危惧種に入っている。
■資料:正福寺遺跡の情報、久留米市ホームページ(2017.2.26更新)


■Cissus quadrangularis

生育地:熱帯アフリカ、東南アジアなど。薬としての利用が多いが、茎、根の繊維を使う。


ブナ科;Fagaceae

■Castanea sativa

生育地:ヨーロッパ。sweet chestnutとも呼ばれる“イギリスの木”の一つ。
木部を割いてスプリント材をとり、かごの材にする。例えば、Sussex Trugのハンドル、フレームに使う。中の材はヤナギ。(イギリス)
●書籍資料:Cesteria tradicional Iberica by Bignia Kuoniでは熱を使って層に剥離させる方法が掲載。
●動画資料:taller de Cestos de Castaño - Youtubeでは太い木からヘギ材をとってタテ材にして、編んでいる様子が見られる


写真はC.crenata、日本の栗。外皮は固く、なんとか編み材になる。


■Oak;Quercus L.

オーク:ブナ科コナラ属の植物の総称。北アメリカ、ヨーロッパなどでかごを作る。
北アメリカ、ヨーロッパなどでかごを作る。Web資料:Merchant and makers, how to make an aok swill basket:オークの種類は不明だが、イギリス、スコットランドなどで作られるSwill Basketを作る材になる。このかごはヘーゼルの枝でフレームを作り、オークのヘギ材で編む。
web資料:イギリス、スコットランドのswill basketの資料、Owen Jones, Oak Swill Basket Maker, http://www.oakswills.co.uk/WhatIs.html


写真はアメリカ北西部で、種小名は不明。


■white oak;Quercus alba

木部を割ってへぎ材を作り、かごを編む(北アメリカ)写真はナイフで整えた粗い材。あまり柔軟。性は無いがしっかりした大きなかごができる。北西部のバスケットメーカーの講習で作ったもの。
底は網代で組んでいる。側面は螺旋に編んで、縁材で補強している。縁を巻いているのは、特に柔らかい若い材であるが、講習中に何人か、切れた。職人が作るかごの中にはアート的な繊細なかごもあり、その場合はていねいにナイフで薄く整えた材にしている。


■Quercus michauxii Nutt.

バスケットオークとも呼ぶ。


■Quercus mongolica

ミズナラ;生育地:温帯。北米ではbasket oak、swamp chestnut oakと呼ばれる。木部からへぎ材をとり、かごを編む。日本でもへぎ材でかごを作る。


写真は秋田のSさんのお宅で。


■common oak; Quercus robur L.

文化と歴史的関係がある。(イギリス、ドイツ、古代ローマなど)


■Quercus suber

コルクがし;コルク層を利用し、いろいろなものを作る。 現在では柔軟性を増す処理を施し、着るものも作られている。


■Quercus variabilis

アベマキ;コルクがとれる。(詳細は不明)


■Fagus crenata

ブナ:木部を割って容器を作る。青森県「ぶなこ」。本来は割れることもある材を青森県工業試験場が考案した。
■資料:製品について:「Bunaco Select」2017.3.1更新
http://bunaco.net/?mode=f4


ホウライシダ科

■Adiantum aleuticum

北アメリカ。黒っぽい茎を裂いて、平らにした材をインディアンがコイリングの巻き材、他の技法(例えばフェルス・トワイニング)の装飾に使う。
■資料:Museum Natural Cultural History of Oregonの庭にサンプルが植生されていた。
■資料YouTube:Twining cedar (6of 15)Harvesting and preparing maidenhair fernでは採取の仕方、加工方法が見られる。
★以下のAdiantum spp. の他にもかごの素材に使われる種類がある。


■Adiantum pedatum

黒い細い茎をカリフォルニアなdのインディアンがかごのコイリングの巻き材に使う。
書籍資料:American Indian Basketry by Otis Tufton Masonによれば、カリフォルニアから西部ワシントン、南部アラスカの部族が使うとある。またこの本によると茎を割っているとある。コイリングのかごの一部の巻き材に使われるが、光沢があり、一部に使われても存在感がある。